忘れ水の伝説
 
   
  忘れ水の記念碑
  あのジンクスはどこから生まれた?

 

名古屋に住んでいる人ならば、一度は耳にした経験があると思います。
上は60歳代から下は中学生まで、実に幅広い年齢層の人々に知れ渡っているほど有名な話。
でも、本当にカップルで東山のボートに乗ると別れてしまうものなのでしょうか?

実はこれは東山公園内の上池にまつわる伝説にルーツがあるようで、
江戸後期の読本である「尾張千夜噺」は、このように伝えています。

『昔、上池には大きな竜がいた。ふだんは池の底に静かに潜んでいたが、周りの村が日照りに
苦しんでいる時には天に昇り、雨を降らせたりしていた。だからいつしか村の人々の信仰を集め、
池のほとりには小さな社まで建てられるようになった。


 

ある夏のこと、この社に百日詣でをするひとりの娘がいた。母親の病気平癒が目的だった。しかし不幸にして短命、母親は満願の日を待たずにこの世を去った。
娘の悲しみは非常なもので、見るに見兼ねた竜は、ある夜天に昇り、雨水のもとになる霊水を手に入れ、池に帰ってきた。
その霊水はまたの名を「忘れ水」と言い、人間がそのまま飲んだ場合は、ありとあらゆる悲しみを忘れさせるという効験があった。
竜はその水を娘に与えた。おかげで娘は母を亡くした悲しみを忘れ、平静を取り戻すことができた。
それ以来、上池の水は「忘れ水」としてもてはやされるようになった。』

時を経るにしたがって、この話の伝える「忘れ水」の内容が変化してゆき、「悲しみを忘れる」ことから「人間関係を忘れる」、
つまり「精算する」ということへと転化していったようです。
そして、上池をいわゆる「縁切り」の場としてとらえていた風習から、冒頭に掲げたような俗信が生まれたのではないのでしょうか。

   
 
 
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